酸蝕歯とはなんですか?

カラダによいといわれているフルーツ、ワイン、酢。運動などで汗をかいた後に飲む、スポーツ飲料。これらはほとんどが歯を溶かすのに充分な強い酸性を示します。食べ物のなかには、かなりの量の"酸"が含まれています。東京医科歯科大学の北迫勇一先生らの研究によると市販の飲料の73%が歯を溶かす以上の酸性を示したそうです。
酸食歯とは、柑橘類などのフルーツやワイン、果汁、炭酸飲料、スポーツドリンクなど飲料、ビタミンCなどの顆粒や液体のサプリメント、うがい薬などの酸性のものを常用することの強い食品や飲料によって溶けてしまった歯の状態のこと。または、酸によって弱くなった歯をかみ合せるが噛むことや歯ブラシによってすり減った歯の状態のことをいいます。また、逆流性食道炎のある方、しばしば嘔吐する方などは胃酸によっても歯が溶かされる場合があります。
カラダによいとされているものが、実は歯には悪い......。きっとびっくりしてしまった方も多いのではないでしょうか?実は最近、むし歯だと思って来院したら、酸蝕歯だったという方が急増しています。
<典型的な酸蝕歯 グラクソスミスクライン社の資料から>

酸蝕歯になりやすい人って?
かつて、酸蝕歯はメッキ工場や酸を扱う工場などで蒸発した酸を吸った労働者の歯に多く見られました。その後、労務環境の改善や産業歯科医らの対策により、現在では労災としての酸蝕歯は激減しました。
しかし近年、酢酸を多く含む黒酢、オレンジやグレープフルーツなどの柑橘類、炭酸飲料やスポーツドリンク、赤ワインなどの摂取によって、歯が溶ける症状が激増しています。酸蝕歯になりやすいもののなかには、なんと歯周病予防に効果があるとされている洗口液(口の中を殺菌する"ぶくぶくぺっ"の液体ですね)も含まれています!
<酸蝕歯になりやすい方>
●炭酸飲料をよく飲む
●スポーツドリンクを水分補給のためによく飲む
●果汁飲料をよく飲む
●梅干しや酢漬けの食品などを食事以外の時、特に就寝前などに食べる
●レモンや柑橘類を水に溶かして水分補給としてよく飲む
●マヨネーズ、ドレッシング等をよく使う
●柑橘類、キューイなどフルーツをよく食べる
●健康のために黒酢の入った食品や飲料を定期的に摂取する
●健康のために野菜ジュースや健康飲料を定期的に飲む
●美容のためや健康のために液体、粉状、顆粒状のサプリメントを定期的に摂取している
●洗口液で寝る前にうがいをしてから寝る
●ワイン、ビール、チューハイなどお酒をほとんど毎日、特に寝る前に飲む
●固い歯ブラシを使って、ゴシゴシとブラッシングをしている
<酸を多く食べ物・飲み物>
(出典: 第21回 日本しか医学総会 2008年11月14日 T003 pHでみるカリエスリスク 東京医科歯科大学大学院う蝕制御学分野 北迫勇一 志田嘉奈子 藤井美穂 田上順次)


酸蝕歯になるとどうなる?
酸蝕歯の主な症状をあげてみます。もしかすると、むし歯かと思っていたら、実は酸蝕歯だったなんてことも十分にありえます。ぜひ一度チェックしてみましょう。
<これらの症状がある方は要注意!>
□歯がしみる
□歯の噛み合わせの山の部分が平になっている。ヘコむ
□前歯の先端が欠ける
□歯の厚みが薄くなる
□歯が細くなる
□つめものと歯の間に隙間ができてくる
□歯のつやがなくなる
□歯の色が黄色くなる
□つめものが変色したり、修復物との境が茶色や黒くなったりする
□いくら歯ブラシをしてもむし歯ができる
※あてはまる数が多いほど酸蝕歯の可能性が高くなります。
おしえて! 酸蝕歯にならないためには
(1)酸性の食品や飲料を摂取後、すぐに歯を磨かない
酸性の食物や飲料は摂取した直後に歯を溶かし、歯の主成分であるカルシウムやリンが歯の周りに溶け出し、柔らかくなっている状態にあります。すぐに歯ブラシで磨けばさらに歯がすり減ってしまいます。
(2)酸性食品摂取後、カルシウムの多いものを摂る
カルシウムを多く含む牛乳・チーズなどを、口の中になるべく長い時間留まるように食べること。ちなみに牛乳は噛むように飲むと効果的です。
(3)MIペースト(GC社)歯に塗る
MIペーストとは、GC社から発売されているリカルデントを使用した口腔ケアペーストです。お口の中の酸性度を中和する作用と緩衝する作用があるといわれています。「フッ素」が間接的に歯を強くするのに対して、「MIペースト」は直接歯を強くしてくれるので、とても効果的です。
(4)リカルデントガム(キャドバリー)、ポスカムガム(グリコ)などを噛む
これらのガムはカルシウムが再石灰化し易い形で含まれているため、溶けた歯にカルシウムなどを供給します。
さらにガムを噛むと唾液が増え、口の中を自然なpH(ペーハー)バランスに戻すことができます。また、唾液はエナメル質を修復し再石灰化を促進します。
(5)食事の間、特に夕食後に酸性の飲み物や食べ物をとらない
特に寝酒などは要注意です。
(6)酸性の食品や飲み物を減らす
炭酸飲料やスポーツドリンクをついつい飲んでしまう人はいませんか? まずは、ミネラルウォーターなどに切り替えてみましょう。
(7)お酒を飲むとき、「するめ」や「さきいか」などの硬いつまみはとらない
酸でエナメル質が弱くなったところに、硬いものをこすりつけてしまうと、余計に歯が削れてしまいます。歯のことを考えると、柔らかいおつまみがいいでしょう。
さあ! 酸蝕歯を改善&予防するために、以上のポイントを今日から実践してみましょう!
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